1週間ばかり、アメリカに行っていました。
アメリカは、ネバダ州リノ。私が大学生活のうち3年間を過ごした街。
貯めていたマイレージを使い切って余分なクレジットカードを解約するためにも、いつかまた戻りたいなと思っていたところに、リノで医学部に通っていたゆみこからの朗報。「卒業する!」・・・機を得たりと即決し、1週間のお休みをもらい、飛んでいきました。
ゆみことは不思議な縁で、大学時代3年間知り合う機会があったにも関わらず、最後の3ヶ月くらいでようやく知り合いになり、それからはしょっちゅう会うわけでもないのに年に1、2回のクリスマスカードやらで繋がり続け、機会を見つけては横浜や福岡で訪ね合い、同期が皆帰国する中、彼女だけはリノに(ほぼ)留まり続け、8年間(?)スタバで働きながら医学部に入る夢を諦めず、ついにそれを叶えた人。4年前に「入学する!」って聞いた時もなかなか興奮したけど、今回の卒業も、彼女の紆余曲折の歴史を多少なりとも知っている身としては、本当に本当に、感慨深いものがあった。
人生って、先ばかりを見つめると恐ろしく長い気がするけど、過ぎ去ってみて振り返ると、意外と短く感じたりする不思議なものである。もちろんゆみこの医学部での4年間は私なんかには想像もできないほど忙しく、長いものだっただろうけど、つまりは30を過ぎ、一般的に遅かったかもしれない彼女の入学も、今となれば全然遅くはなかったということが言いたい訳で。これから彼女が医者として活躍できる可能性を鑑みれば!
それにしてもアメリカで医者になるって、本当に本当に大変なこと!ゆみこ、何度も言ったけどまた言うね、おめでとう!!
このあとニューヨーク州で新たにResidensy(研修生)として働くために、大陸を6日間かけて(愛猫と!)横断引越し旅行するという忙しさの中にも関わらず、私に付き合って色々なところに連れて行ってくれてありがとう。
リノに住んでいた時に、やりたくてもやらなかったことの一つとして、「Nの山に登る」というのがあった。Nの山とは、文字通りNと書かれた山のことで、正式名称があるのかどうか、Nが何を意味するのかについては、誰に聞いても正確なところはわからない(おそらく大学のロゴのN(Nevada州から来てる?)と思われる)。「ただの石があるだけで何もないよ」というネガティブなコメントをいつか誰かから聞いてから、つまらないことに誘うようで誰にも声がかけられなかったけれど、今回こそはと試しにゆみこに声をかけてみたら、「最後の思い出にぜひ行こう!」とノリノリな返事が返ってきたので嬉しかった。
先のゆみこの話にダブるようだけど、遠くに見えるNは行ってみると意外に近く、でも近づこうとするとなかなか遠い。
通り過ぎていく元気なバイカーやトレイルランナーらと挨拶を交わしながら、結局一時間半くらいかけて(?)道を間違えて引き返しては、あっちかこっちかと思案を繰り返し、時に止まり石を拾っては捨て、写真を撮っては遊んで、前方に見える人の影に励まされ、ようやくNに辿り着く。
着いた先のNは確かに想像通りのただの石の集まりで、見る人から見れば何もないものだけど、私としてはどうしてもやりたかったリストの一つにチェックを入れられた充実感は大きかった。
こんな些細なことでも、やらなかった後悔は、やった後悔よりも大きいと実感できる。何年も忘れていたこんな小さな山を、いざ行くとなるとちゃんと思い出すんだから。やっぱり、やりたいことは、できるのであればやった方がいい。
Nに着いてみると、山は意外と低く、リノの街は意外と遠い。
上ばかりを見て歩いてきたけれど、見下ろしたところに同じよう向かってくる人影が見える。そっか、私たちも誰かにとっては道しるべだったのかななんて、哲学的なことを考えてみたりする。