私は今住んでいる神奈川県の藤野と山梨県の山中湖村を行き来するとき、大抵いつも道志村という綺麗な川沿いの村を通る。昨日おとといも山中湖の友人のカフェを手伝い、山中湖畔では初めて渋滞に30分ほどはまりながら夜な夜な帰ってきた。
このルートは普通に運転するとぴったり1時間くらいの道のりで、信号が少ないくねくねした山道。通過する道志村は、透明に澄んで夏でも冷たい道志川がきれいな小さな集落で、両サイドを森に囲まれ、天気がよければ大きな富士山も見える。そのためか、ガチなライダーや自転車乗りも多く、気をつけながらその時々に好きなことを思うのだけど、最近は通るたび必ず考えることが3つある。
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1つ目。コミュニケーションのこと。
この道を通るようになってまだ2年くらいだけど、この短い間に、バイクのライダーたちとのちょっとしたコミュニケーションが非常に爽やかになった。
以前は煽られているのを感じると車を脇に寄せ、彼らのこれ見よがしな(?)加速音とともに走り去る後ろ姿を見るだけだったのだけど、この1年くらい、同じような状況では、通りすがりに少しだけヘルメット頭をこちらに向けて、左手をさっとあげて会釈していく爽やかなライダーが急増した。誰が広めてくれたマナーなのか知らないが、今ではほとんどのライダーがこの仕草をして通り過ぎてくれて、こんな些細な動作一つで、道を譲った方の気分は全然違うんだなとちょっとびっくりする。
カーブの多い一本道だから、当然車同士のスピードの出し方にも違いがあり、煽るつもりじゃなくても結果的に私も煽ってしまっているような場合もある。私は前後に車がいないのが好きなので、後ろに車がつくと早めに譲るようにしているが、時々、背後は一切構いませんというなかなかハートの強い車もいたりするので、そういう時に私は、「すみません、お願いですから道を先に譲っていただけませんか?」と、背後から何かしらの方法で合図を送れないかと考えたりする。それができないうちは、私はただの感じの悪い煽り屋のまま(そこまで超接近はしていないけど!笑)。本気で急いでいるときは、こっちの性格もまぁいとも簡単に悪くなるもので、人間ってちょっとコミュニケーションが取れないだけでこうも不自由するんですね。私なりにライトとかクラクションを使う方法を考えてみたけど、伝わらないうちはきっとそれも煽り行為・・・。なんだろう、LINEスタンプ的な軽やかな意思疎通アイテムとか?これに関しては個人的ニーズがありすぎて(←どんだけ普段煽ってると思われちゃうかな笑)、何らかの方法が見つかったら相当のヒット商品になると思いますので、閃いた方は積極的に商品化して世に広めてほしいと思います!ま、一番の解決方法は時間に余裕を持って出かけるってことなんですけどね。
コミュニケーション。
難しいようで、ささやかなこと。
2つ目は、開催されなかった東京五輪2020のこと。
もし開催されていたら、このルートの大部分が、自転車競技に使われている予定だった。すっごく多くの観光客がこの場所を訪れ、この静かな村が国際色豊かな人々で溢れたのだろうなと思うと、ひっそりといつものまま佇ずむこの村を見て、起こらなかったパラレルワールドの不思議を思う。
山中湖畔もルートになっていたので、今でもあちこちに東京五輪のフラッグやポスターを見かける。片付けるタイミングを見失ったのか、来年に希望を引き延ばす意味で敢えてそのままにしているのかわからないけど、正直見ていて少し痛々しい・・・。
3つ目は、昨年道志川のキャンプで行方不明になった小倉美咲ちゃんという当時小学校1年生の女の子のこと。たまたま通った昨日9月21日は、彼女が行方不明になってちょうど一年目の日ということだった。実は山中湖ももう夜は寒くて、その日も前日も、私は家で灯油ストーブを焚いてしまったほど(!)。テレビでインタビューに答えていた美咲ちゃんのお母さんは、「当時も今日のようだった」と話していて、こんな冷たい空気の夜に、一体何が起こったのかと今でも不思議に思う。この一年、私たちがそれなりに色んなことを楽しんでいた合間にも、一日も心から楽しめる日はなかったんだろうなと、ご家族の辛さを想う。私はなんとなく誘拐事件だと思っているから、どうか美咲ちゃんがまだどこかで元気でいますように。彼女のSOSに一日も早く気づくことができますように・・・。
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もう一つおまけで考えてしまうのは、友人がこの道志村に嫁いでついにこの夏家を建てたので、いつ遊びに行こうかと思っていること!
ぜひとも夏の間にと思っていたけど、
夏はもうすっかり終わってしまったようですね・・・。