歩むように

出会ったばかりのコロナ禍の密
出会ったばかりのコロナ禍の密

 

奇妙かもしれないけど、

2020年の中で私のベストショットはこれ。

 

8月頭、たんの和菓子店の丹野さん一家や、その繋がりで知り合った2家族+私と言う組み合わせで、山中湖のコテージで泊まった時のもの。

 

なぜこの写真かと言うと、

子どもたちが集まってくる前に一人で「サイコー」とか言いながらこの長椅子に寝そべってまったりしていたら、それを見ていた男の友人二人が、

 

友人1:「チルってるね〜。はなちゃんって、ストレスとかあるの?」

友人2:「ほんと、ストレスなさそう・・・」

 

私:「・・・そういえば、ストレス・・・今全然ない!!!」

 

その時のありがたさと言うか、気づきというか、何かそういう段階を一つ抜けたんだと思えた感覚を思い起こすのが、この写真なのです。

 

以前は夜中に不安で目が覚めてそのまま眠れなくなったり、ストレスでものすごい肌荒れを起こしていたこともあったことを考えると、

 

外から見ても、ストレスがない。

内から見ても、ストレスがない。

 

なんて奇跡のような、現実!

特に今年の、この状況の中で・・・。

 

多くの方々が大変な思いをされている中で、不謹慎とわかりつつも、私にとっては世界が一斉に動きを止めて立ち止まったことが、すごくホッとすることでもありました。

 

思えば、ずっと世の中のペースについていけてなかったし、そんなの気にしないって思っても、世は一方的にストップウォッチを握りしめこちらのタイムを計ってくる。

いつまでに結婚。いつまでに出産。いつまでにこうしておかないと、やばいよ英恵。

自分の声でもあったけど、他人の声でもあった。近しい人ほど、そういう時の声は大きかった。

すでにクタクタのマラソンレースの中で、フラフラな足元だけど止まったらもっと差が開いてしまう。なんとか足を前に踏み出すけど、本当はずっとずっと、立ち止まりたくて仕方なかった。

 

そんなレースの最中も、大丈夫、大丈夫だよ英恵、って脇でエールを送り続けてくれたのは、いつだって私自身の創作活動だった。エールの旗が、一枚一枚前進する私の横をかすめるように、新しい作品が現れては通り過ぎ、私を励まし前進させてくれる。

 

今年はそんなレースが急に、停止した。

「その場で待機してください。」

「歩いてもいいけど、走らないでください。」

 

止まってもいいんだったら、寝っ転がってもいいよね。

寝っ転がって空を見上げていたら、子どもたちが集まってきた。

だってそうしてるの、本当は誰だって楽しいもの。

 

 

今年はまた、初めて、「もう孤独じゃない!」と思えた年でもあった。

 

創作活動は確かに私の一番近しい拠り所だったけど、去年くらいでも「まだまだ孤独な戦いだなぁ」と感じてしまうことがあった。

 

今年は、最近になって、「あれ、そういえば前みたいな孤独感じてない!」って気づいた。

 

ふと気がつくと、同じレースに、コーチのように寄り添って走ってくれる人がいる。

休憩所で、水を手渡しするために待ってくれてる人がいる。

車で並走してメガホン片手に応援してくれる人がいる。

 

同じレースでも、こうなるとだいぶ楽。

 

 

来年は、どんな一年になるかな。

 

実際の話、私は走るのは苦手だけど、歩くのだったら何時間でも休憩なくいけちゃう人。

 

走るのではなく、歩くように、風景を楽しみながら、好き放題立ち止まりながら、美味しいもの頬張りながら、人とおしゃべりをしながら、もっと人間らしいペースで進んでいける年になるといいな。

 

 

この一年もありがとうございました。

 

 

 

棚澤英恵

 

 

 

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