気がつけば2ヶ月近く更新せずに過ぎてしまいました。
元気にしています。
以前、と言ってももう3年前、小津安次郎とインスタの関係という文章を書いたのですが、今日久しぶりに小津監督の『彼岸花』という映画を観て、やっぱりまた感動してしまい、久しぶりに文章を書く気になりました。
よければこの↑ブログを先に読んでから、その続きとして今回のブログ読んでみて下さい。
実は今月中に一枚「彼岸花」の絵を描く必要があり、今日の昼間からなんとなく画像検索し始めたところ、これは容易に描けそうにないと思っていたときに現れたこの映画のサムネール。小津監督は彼岸花をどう描いて、どういう意味を込めるのかなと気になり、観てみることに・・・。こういうのって、半分は娯楽に対する言い訳ですが、半分は本当に創作のヒントになったりするものです。
ここから先は私が映画を観て気がついてしまった小津監督の映像トリック、おそらく気がついた人はごくごく少ないと思うので、もし興味のある方は先に映画を観て(私はAmazon
Primeで観ました)からこのブログの先を読んでみると面白いかもです。
映像トリックのヒントは「4色」。
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小津監督作品がお洒落なことは知っていたけど、改めて、嫌味なくペラペラとめくってしまうファッション雑誌のようだとも思いました。
加えて今回気が付いた小津監督の映像トリック、それは、色の使い方!
冒頭のクレジットの色の使い方から違和感があり、多分本編10~15分くらいで気がつき、もしやと思って続けて観ているうちに、絶対そうだ!っていう確信に変わっていきました。
何かというと、映像のほとんどを、たったの4色で表現しているのです。
その4色は、赤、白、緑、茶色。と、それらを混ぜ合わせた中間色。
プラス、黒(グレー)と黄色と青が合わせても全体の1割程度の印象。
赤は、ヤカン、襦袢、口紅、看板の文字、セーター、帯、テーブルクロス、etc.
白は、浴衣、壁、シャツ、花瓶、ボート、エプロン、障子、襖、etc.
緑は、ワンピース、畳、壁、セーター、樹木、器、着物、etc.
茶色は、柱、カバン、廊下、ハイボール、急須、デスク、背広、etc.
中間色としては、エンジやペパーミントグリーン、黄土色など。
おそらく観る人はいい意味で違和感を感じて、いい意味で目が心地良くさせられる。
私は上のトリの絵、実は別の色で描いたものをこのブログのために〈小津4色(+1)〉に画像編集したのですが、普段作品を作っていて気づくのは、一枚の作品を4色前後で仕上げると心地良いということ。個人的に、この作品好きだな〜っていうのは、実は4色使いが多いのです。
話は戻りますが、この小津監督が選んだ赤、白、緑、茶色の4色。
これが、小津監督が表現するところの彼岸花!きっとそう!
その証拠にというか、小津監督は、タイトル以外で彼岸花の映像をワンカットも使っていないどころか、セリフに登場させることも、何かの形で示唆することすらしていない。「お彼岸」という言葉すら。
ついでに面白いことに、内容としては娘の結婚を心配する親世代の葛藤みたいなものがテーマなんだけど、渋々認めた娘の結婚式の映像は、物語のハイライトでありながら1秒だって描かずにその前後のみで繋いでいる。
こういう凝った作り方は本当に上手くやらないと機能しないと思うけど、小津監督は全く何の気もない「かのように」、お洒落にやりのけてしまう。
そしてこの映画を観終わってから知ったのだけど、これが小津監督が手がけた初カラー作品とのこと!やっぱり!ブラボー!絶対に、カラーでやるんだったらカラーで遊んでやろうって思ったんだろうなぁ・・・!
小津監督の映像の中で彼岸花を観たかったけど、
この方は、彼岸花を描かずに彼岸花を表現する人なのだ・・・。
さて、私はどうしよう。