9/3(日)まで横須賀美術館で開催中の荒井良二さんの展覧会に行ってきました。
絵本として何度も色んな作品で拝見していたけれど、原画が素晴らしいという話はだいぶ昔に聞いていて、いつか機会があればと思っていました。
やっぱり、本当に素晴らしかった。
実はこの方、私が絵本に挑戦しようと思って2012年、13年と続けてボローニャ(イタリア)の絵本原画展(絵本作家を目指す人は必ず知っている有名なブック・フェア)に行ったとき、どちらかの年に一度お目にかかっていました。すごく「いい意味」でオーラを発してなくて(本当にいい意味です)、現地で知り合った他の日本人のイラストレーターの子と一緒に5分くらい立ち話させていただきました。いい意味というのはまるで同じ高さにいてくださるような、いわゆる怖さのない方で、すぐにでも友達になれそうな素敵な雰囲気の方でした。
私、一度絵本を出しておきながら白状すると、そんなに絵本じゃないのかな私の道はと思っているのですが(しかし未来のことは誰にもわからない!)、うーん、だから正直言うと、荒井良二さんの絵本も特別大きな感銘を受けたことはなかったし(というか、絵本そのものにはまり込んだことは子ども時代もなかったし、今もない・・・というのが、色んな絵本好きな人たちと自分を比較してわかってきたこと)、ただ原画にはずっと興味を持っていました。
そして原画展は本当に素晴らしかった!
どんなデータを探っても誰とも被らないし、どの時代っぽさもなく、荒井良二はただ荒井良二で。いつもだと色んな作家さんのお仕事を見ては羨望とか嫉妬とか恍惚とかあわよくば盗んでやろうみたいな様々な気持ちが湧き起こるのだけど、荒井良二さんの作品からはただただ幸せな波動を感じるだけ。なんというか、動物が気持ちよさそうに寝てるのを見て、「いいなぁ」って思う時の、幸福感のような感じ・・・。
展示そのものも、子どもの目線を気遣って低い位置に設置されていたり、写真撮影全てOKだったり(普通はない)、とにかくあのボローニャで5分の合間に受けた印象そのものの、みんなと「同じ高さ」の人、その展示風景。
でも目線で言えば、作品内での目線の使い方はとても巧みで、遠くと近く、鳥の目的な構図の捉え方とか、すごい広い景色を描いているのに確実に見て欲しいところに焦点が誘導される画力、ついつい時間をかけて探してしまう細やかなユーモア。本当に見ていて楽しくてたまらなかったです。この方に絵具と色彩を与えてくれて神様ありがとうって思っていました。
荒井良二さんはライブペイントもよくやるみたいで、それもいつか見てみたいけど、それよりも、一人で仕事場で作業している時に静かに後ろから仕事の様子をずーっと眺めてみたい。どうやって色を置くのかとか、手(手首)をどう動かしているのかとか、どれくらいのスピードで、どれくらい時間をかけるのだろうとか、気になること色々。でも一人で仕事してても口元はずっと微笑んでいそう。勝手にそんな感想まで持ちました。
あと一週間しかないけど(暑さに動けなくていたら私もギリギリになってた!)、行ける方、ぜひ行ってみてくださいね!この後他県数カ所で巡回もされるみたいです。
教えてくれて&ドライブして連れて行ってくれたお友達親子のお二人、本当にありがとう♡